■  KENPROお客様に聞く - 佐々木博嗣さん



剣道歴30数年 段位七段にして二刀の使い手、さらに「武蔵の剣 − 剣道二刀流の技と理論 −」の編著者でもある佐々木博嗣氏(写真右)にKENPROの提供する防具への評価を詳しく聞いた。

■ 佐々木氏の剣道歴

-- 佐々木さんの剣道歴を教えてください。

剣道は、中学校入学と同時に始めました。途中での中抜けもありますが、今日まで継続して来られたことが唯一の自慢です。7年前に二天一流十七代中村天信師範と出会ったのをきっかけに二刀流を学び始め、今は二天一流「武蔵会」の副会長を務めています。七段審査も二刀で受けました。

■ 防具一式、特注、30万円ぐらいで揃えられないかと考えたが…

-- この度、KENPROで面、胴、小手など防具一式を新調していただきました。今回、佐々木さんが防具を新調しようと思ったきっかけは?

七段の審査を受けるにあたり、身だしなみを整えようと考えたことが理由です。二刀流はまだまだ邪道と思われることの多い流派。それだけに審査には、凛然としたいでたちで臨まねばならないと考えました。剣技が未熟という理由でならまだしも、身なりを見とがめられて不合格になってしまったのでは悔いが残ります。

-- 当初の予算はどのぐらいでしたか。

防具一式をオーダーメイドで揃えて、30万円ぐらいで賄えないかと考え、都内の防具店をまわりましたが、特注となると、どこも50万を切ることはありませんでした。量販品であれば、10〜20万も出せば、一分刺しの防具が揃えられますが、やはり作りがよくありません。量販品は、例えば、胴ムネひとつとっても、一面をおなじ模様にした「つぶし」柄が主流です。しかし、二刀を使う私にとって、ムネまわりの飾りは必須でした。

■ なぜ二刀では、胴まわりの飾りが重要なのか

-- なぜ二刀では、ムネまわりの飾りが必須になるのですか。

ムネ回りの飾りには、「安全対策」、「勝つための仕掛け」、「精神的満足、縁起かつぎ」の三つの意味合いがあります。

まず安全対策ですが、これは突きへの備えです。私は二刀流なので、相手はどうしても突きを狙ってきます。突きが外れて胸元に入ってきたときに、胴胸に飾りがついていないと、剣先が上下左右に滑って、体に当たる恐れがあり、危険です。しかし、胴の周囲に飾りがあれば、そこで剣先が食い止められます。

ところで、どうせ突きを狙われるのなら、発想を一歩進めて、相手にあえて突かせ、その隙をついて攻めかえせばよいともいえます。ならば、むしろ相手が無意識のうちにそこを突きたくなるような装飾を胴胸に施せばよいと考えました。これが勝つための仕掛けという意味合いです。

最後に精神的満足の部分ですが、やはり防具は、見た目も含め、自分のこだわりをとことんつきつめたいものです。胴回りの飾りにしても、松の模様など重々しい物よりは、私には、もう少し軽妙なものの方が好ましい。KENPROでは、私専用のマイページなどを使って、実際の写真や画像を使いながら、自分の好みを追求しました。

なお、胴の左上にはアクセントとしてトンボの模様をあしらいました。トンボは前にしか進めないので、「勝ち虫」として縁起がよいのです。

■ KENPROでこんな防具を作った

-- KENPROのことはどこで知ったのですか。

冒頭でも述べたとおり、七段審査のために防具を新調しようとしましたが、街で良い防具店が見つかりませんでした。ではWebショップで良い店はないかと検索しているうちに、KENPROにいき当たりました。

-- そして、KENPROに新しい防具を注文したと。

いえ、いきなり防具一式はちょっと不安だったので、まず防具バッグを買いました。防具を新調すればどうせバッグも必要になるし、また届いたバッグの縫製やつくりを見れば、防具一式を注文したときの品質も見当がつきます。KENPROいかほどのものか、バッグ購入のついでに様子を見る意図もありました。

数日後に届いた防具バッグは、なかなかていねいな作りでした。また店主の田村さんがWebサイトの冒頭で、「(通常の防具店では)値段がわかりにくい。物と価値が一致しない。情報が少ないので、在庫処分で押し売りされる」など防具業界のあり方に問題提起し、「自分は当たり前の"良くて安い"防具を売りたい」と意気込みを語っていました。読んでいて共感できる部分も多々ありました。

これならまあ大丈夫なんじゃないかと思い、防具一式を特注することにしました。価格は、防具バッグを含めても、当初の予算を下回る額におさまりました。特注の防具が、こんなに安い価格で買えるのは、やっぱりいいですよね。

防具のできあがりには満足しています。面の物見もピシャリと合っていました。また、マイページで密に打ち合わせできたことも良かったと思います。

■ これから防具を作るひとへの助言


-- 佐々木さんのこれまでの防具購入歴は。

面だけの新調は4回、小手だけなら7〜8回、防具一式の新調は今回が二回目です。

-- 剣道をこれから始めようとする初心者向けに、防具選びについて助言をいただければ幸いです。

お伝えしたいことは三つあります。

第一に、少なくとも面だけは自分にあったものを選ぶようこだわりましょう。量販品を買うと、面の物見が、ずれて合わないことがあります。物見はとても重要で、これが合わないと剣道自体が狂います。自分の頭のサイズや目の位置によく合った面を使うのがよいでしょう。

第二に、小手は指を包む部分があまり緩すぎないものを選ぶことをおすすめします。大きめの小手の方が竹刀を握りやすいように思えてしまいますが、やや幅狭に感じるくらいの小手を買うのが正解です。幅広の小手は最初は握りやすく思えても、やがて皮が伸びてブカブカになってしまいます。

最後に、胴は、上部が胸に近づくようにカーブしている物をお選びください。作りの悪いものは、胴全体にカーブがなく、横から見ると、胴胸が「立って」います。このような胴は、つけたときに胸と胴の間にすき間が大きく空くので、見た目にも悪く、また剣先が入りやすく危険です。つくりが良い胴であれば、胴胸が身体に密着するようにカーブしています。

■ KENPROへの評価、期待

-- 今後のKENPROへの期待などあれば、お聞かせください。

今回これだけの品質の特注防具をこの値段でご提供いただいたことを、あらためて感謝いたします。今は防具だけを販売しているご様子ですが、今後は竹刀や稽古着などもKENPROで特注制作できるようになると嬉しいですね。防具に限らず、剣道の道具に対しては、みなそれぞれにオンリーワンのこだわりを持っています。あらゆる道具を納得いくまでつくりこみたい気持ちが誰にもありますから。

最後に私感です。私のネット歴は10数年前のNIFTYフォーラムに始まり、今もWebサイトを活用して剣道の仲間たちとの交流や二刀流の普及などを図っています。KENPROさんもネットを使って、防具業界に新風を吹き込もうとしているようで、その取り組みに共感しています。これからもお互いネットを通じて剣道界を盛り上げていきましょう。

-- 今日は貴重なお話しを有り難うございました。


■ 佐々木さんの稽古風景(千葉県 御宿の合宿にて)


稽古支度


礼式、黙想


二刀の構え


二刀の構え(2)



立合


佐々木博嗣氏 編著作 「武蔵の剣 − 剣道二刀流の技と理論 − 」
宮本武蔵の「二天一流」を基に現代剣道における二刀の技を体系化し、二刀の基礎的技術から、二刀修練を一刀に活かす方法や対二刀の戦略、更には二刀流の歴史までも網羅した、初の剣道二刀流の技術専門書。二天一流 第17代師 範 中村天信監修。二天一流「武蔵会」副会長 佐々木博嗣 編著。(くわしくはこちらを)

※ 佐々木さんのWebサイト「はくどー庵」
※ 二天一流 武蔵会のWebサイト
※ 日本橋剣友会のWebサイト
※ 取材日時 2006年10月